教育勅語・・・日本人にとってなにが「大切なこと」なのかを示された手本

明治天皇は明治元年、国是五箇條を神々にお誓いになり、新生日本の大方針を明らかにされました。政府はこの方針にそって、近代国家の建設には人材の育成が急務であるとして、明治5年学制を公布し、全国的に学校を設置して義務教育の制度を確立し、教育の普及に努めました。しかし当時は文明開化の風潮により洋学が重んじられ、我が国伝統の倫理道徳に関する教育が軽視される傾向にありました。

 

このような実情を深く憂慮された明治天皇は、徳育の振興が最も大切であるとされ、わが国の教育方針を明らかにするため明治23年10月30日、教育勅語を渙発されました。勅語には、日本人が祖先から受け継いできた豊かな感性と美徳が表され、人が生きていくべき上で心がけるべき徳目が簡潔に述べられていましたが、戦後に教育勅語が排除された結果、我が国の倫理道徳観は著しく低下し、極端な個人主義が横溢し、教育現場はもとより、地域社会、家庭においても深刻な問題が多発しています。

 

今こそ、私たちは教育勅語の精神を再認識し、道義の国日本再生のために、精進努力しなければなりません。

 

教育勅語の口語文訳

私は、私達の祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざして、日本の国をおはじめになったものと信じます。そして、国民は忠孝両全の道を全うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。

 

国民の皆さんは、子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動を慎み、全ての人々に愛の手を差し伸べ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格を磨き、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また、法律や、秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心を捧げて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません。そして、これらのことは、善良な国民としての当然の努めであるばかりでなく、また、私達の祖先が、今日まで身をもって示し残された伝統的美風を、さらにいっそう
明らかにすることでもあります。            

 

このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私達子孫の守らなければならないところであると共に、この教えは、昔も今も変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国で行っても、間違いのない道でありますから、私もまた国民の皆さんと共に、祖父の教えを胸に抱いて、立派な日本人となるように、心から念願するものであります。

 

〜国民道徳協会訳文による〜

教育勅語の十二の徳目

孝行(こうこう) 親に孝養をつくしましょう

 

友愛(ゆうあい) 兄弟・姉妹は仲良くしましょう

 

夫婦(ふうふ)ノ(の)和(わ)

 

夫婦はいつも仲むつまじくしましょう

 

朋友(ほうゆう)ノ(の)信(しん) 友だちはお互いに信じあって付き合いましょう

 

謙遜(けんそん) 自分の言動をつつしみましょう

 

博愛(はくあい) 広く全ての人に愛の手をさしのべましょう

 

修学(しゅうがく)習業(しゅうぎょう) 勉学に励み職業を身につけましょう

 

智能(ちのう)啓発(けいはつ) 知識を養い才能を伸ばしましょう

 

徳器(とくき)成就(じょうじゅ) 人格の向上につとめましょう

 

公益(こうえき)世務(せいむ) 広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう

 

遵法(じゅんぽう) 法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう

 

義勇(ぎゆう) 正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう